ROIC/WACC業界分析レポート

【ROIC/WACC分析】広告(情報)




業界ディスクリプション


  広告(情報)業界では、求人情報、金融情報からグルメ情報まで、多様なジャンルの情報を定期発行の雑誌や独立冊子状態で読者に提供する。雑誌はほとんど情報雑誌の性格を有するため、市場の明確な定義が難しいが、情報提供に重きを置いていることが広告(情報)業界の特徴である。出版業界が長期下落傾向にある中、フリーペーパー化戦略やデジタル化を進めつつ、紙媒体と連携させる戦略をとる企業が増加している。

 出版業界においては書籍を市場に流通させるルートが必要であるため、参入障壁は比較的に高かった。しかし、低資本での参入可能なフリーペーパーや電子出版の増加により参入障壁は低下していると考えられる。

   出版業界全体の低迷の中、情報誌はターゲットのニーズに沿った質の高いコンテンツを提供することで競合企業との差別化を図る必要がある。さらに広告効果が低ければ競合企業に広告主を取られてしまうため、広告効果の向上も目指さなければならない。

 出版業界の中でも情報系雑誌におけるインターネットの影響を大きく受けている。特に人材業界ではインターネットによる人材広告がメインとなっている。こうした中で、特定の地域特化した求人情報を掲載するなど、インターネットとの差別化により、読者を獲得していく必要がある。

  インターネットの利用増加の伴い、出版物が紙媒体から電子書籍へと移行いる。情報系出版社はインターネットと紙媒体を連動させるなど、戦略的に読者を維持していくことが重要である。

  出版科学研究所によると、2017年における雑誌・書籍の販売額は推計で1兆3701億円、13年連続減少である。情報系出版を含めた、出版業界は長期下落傾向であり、紙媒体の出版物は、製品ライフサイクルの観点で考察すると、衰退期に属していると考えられ、厳しい状況である。 


ROIC/WACC業界分析 

    上記の図表のY軸は、企業価値の時価(Market Value)と簿価(Book Value)を比較した数値である。X軸は、ROIC(投下資本利益率)/WACC(資本コスト)である。日本の全上場企業を調査すると図表の直線Y = (X-1) + 1に収束する。企業が目指すべきは、資本効率性を意識したROIC経営により、X(ROIC/WACC)を大きくし、適切なIRによってY(時価総額/株主資本)を大きくしていくことである。

  広告(情報)業界のROIC/WACCと企業価値の分析によると、全体的にROIC/WACC<3に企業が集中している。しかし中ではクイック(4381)がROIC/WACC=8.09と抜きんでている。次いで、アルバイトタイムス(2341)の6.0である。 ROIC/WACC(横軸) < 1の企業は、WACC(資本コスト)がROIC(投下資本利益率)を下回っている。これは、株主が求める期待収益率/資本コストを上回ることで自己資本に加算される付加価値を生み出していないということである。これらの企業は、早急に自社の資本コストを求め、それを上回るROICを生み出す改善努力が必要である。( 詳細は下記に記載)

  ROIC/WACC(横軸) > 1ではあるが、図表の線よりも下に属する企業は時価総額が理論的な企業価値の推計値よりも下回っているといえる。アパレル(総合)業界の企業はほとんどがROIC/WACC > 1になっているものの、特にROIC/WACCの値が大きいアルバイトタイムス(2341)やオリコン(4800)は理論的な株主価値の推計値を下回っている状況である。これらの企業は、自社の資本コストを求めたうえで、ROICの向上に努めつつ、資本コストとROICの比率のアピールを含めたIRが必要である。 


 ピックアップ  

〇事業内容
・人材サービス事業
登録している転職希望者と求人企業をマッチングさせる登録型人材バンク としてサービスを提供している。看護師紹介や専門職紹介などの特定分野でNo.1を目指している。
・リクルーティング事業
新卒・キャリア領域、アルバイト領域において、採用活動全般から入社後の人材育成に至るまでのワンストップ・ソリューションを提供している。
・情報出版事業
石川県、富山県、新潟県で地域情報誌の出版及びポスティング、コンシェルジュ(対面相談サービス)を行 っている。 
・ネット関連事業
HR業界におけるシェア獲得を目指し、「日本の人事部」ブランドのイベント等の企画・運営及び人材ビジ ネス企業のWebプロモーション支援を行っている。
・海外事業
国内少子高齢化・労働人口減少に対応するべく、現地日系企業を中心に、アメリカ、中国、メキシコ、イギリスで、グローバルな人材流動化に向けた転職支援事業の開発を行っている。

    クイック(4381)は「関わった人全てをハッピーに」を経営理念とし、「私たちは、人材、情報ビジネスを通じて社会に貢献します」を事業理念として、人と企業を結ぶ総合人材サービスを提供している。2018年3月期の売上高は99億1500万円、営業利益は17億3500万円で8期連続増収増益を達成している。


〇事業内容 
・情報提供事業
非正社員向け無料情報誌「DOMO」を主力とし、求人情報サイト「DOMO NET」、正社員転職・就職サイト「JOB」、新卒採用に特化した求人情報サイト『TSUNORU』などを発売している。また、ペット関連情報誌「Wonderful Style」を発行しSP広告を販売している。
・販促支援事業
主力商品「DOMO」は無料情報誌であるため、独自の流通網を開拓・維持するため、連結子会社リンクの流通ノウハウを事業化
した。

アルバイトタイムス(2341)は「対話と奉仕」を経営理念とし、無料情報誌「DOMO」の発行を始めとした魅力ある情報サービスを開発・展開している。2018年2月期の売上高は55億6600億円、営業利益は 5億2700万円となっている。


 ROIC経営導入支援モデル




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 【執筆】

 アナリスト  飯田涼太

 ジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社(J-Phoenix Inc. ) 

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