ROIC/WACC業界分析レポート

【ROIC/WACC分析】パッケージソフト(ERP・会計)業界



業界ディスクリプション

 ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)は、「統合基幹業務システム」や「統合業務パッケージ」といわれ、企業の保有している経営資源(設備、人材、情報、在庫など)を管理し、経営を効率化・最適化を達成するためのソフトウェアである。EPRソフトウェアは、企業内全体を統合的に管理することができ、すべての業務プロセスを標準化し、経営に関する情報を一つのデータベースで管理することが可能となる。統合されたデータによる経営品質の向上、意思決定の改善、業務効率の向上などが導入するメリットとして挙げられる。ERPソフトウェア業界は、世界的な企業として「SAP」、「Oracle」や「FIS Global」が有名である。


 EPRパッケージソフトは、欧米の大手ソフトウェアのシェアが大きかったが、昨今は国内メーカーも中小企業向けを中心にシェアを拡大してきており、大企業でも国内産のパッケージソフトを採用する企業も見られるようになった。国内メーカーは、システムインテグレータ企業と連携を強め、販売チャネルの強化を図っている。参入障壁は高く、シェアを見るとパイオニア企業がシェアを握っており依然として海外企業が力を持っている。


 法人向けビジネスであるため、買い手(顧客)の交渉力が比較的強いことが多い。シェアも寡占状態であるが、一強とまではいかない。法人で特に大企業はスイッチングコストが比較的高いこともあり、売り手に交渉力がある場合もある。


 国内のEPR市場を見てみると、シェアトップはSAPジャパンの「SAP ERP/SAP Business All-in-one」が20.8%。次いで、OBCの「奉行 V ERP/新 ERP(奉行21/奉行 iを除く)」が17.8%、富士通の「GLOVIA smart/GLOVIA SUMMIT/GLOVIA ENTERPRISE」が11.6%、日本オラクルの「Oracle Fusion Applications(EBSも含む)」が9.2%と続く。5位は、SAPジャパンの「SAP Business One」と大塚商会の「SMILEシリーズ」が8.3%で並ぶ。


 国内のEPRパッケージソフトの市場規模は、およそ1097億円。前年比0.8%増で、ほぼ横ばい。(矢野研究所による) 堅調な景気動向で、システムを見直す企業が増加している。今後も、なだらかに成長するとみられ、堅調な動きは続くとみられる。






ROIC/WACC業界分析 



 上記の図表のY軸は、企業価値の時価(Market Value)と簿価(Book Value)を比較した数値である。X軸は、ROIC(投下資本利益率)/WACC(資本コスト)である。日本の全上場企業を調査すると図表の直線Y=(X-1)+1に収束する。企業が目指すべきは、資本効率性を意識したROIC経営により、X(ROIC/WACC)を大きくし、適切なIRによってY(時価総額/株主資本)を大きくしていくことである。  

 パッケージソフト(ERP・会計)業界のROIC/WACCと企業価値の分析によると、全体的にROIC/WACCは上場企業平均に比べ成長期待が大きく、MV>BVとなっている企業が多い。中でも、ブレインパッド(3655)は非常に成長期待が大きい。一方で、データ・アプリケーションは、ROICが130%と非常に高いが、比較的割安に評価されている。


 ROIC/WACC(横軸)<1の企業は、WACC(資本コスト)がROIC(投下資本利益率)を下回っている。これは、株主が求める期待収益率/資本コストを上回ることで自己資本に加算される付加価値を生み出していないということである。これらの企業は、早急に自社の資本コストを求め、それを上回るROICを生み出す改善努力が必要である。( 詳細は下記に記載)  


 ROIC/WACC(横軸)>1ではあるが、図表の線よりも下に属する企業は時価総額が理論的な企業価値の推計値よりも下回っているといえる。パッケージソフト(ERP・会計)業界の企業は、全業界の平均と比較しても成長期待が大きく、ROICが高い企業が多い。その中でも、比較的割安に評価されている企業は、データアプリ(3848)、東洋ビジネスエンジニアリング(4828)、ピー・シー・エー(9629)などがある。




ピックアップ


ブレインパッド(3655)
〇事業内容
・アナリティクス事業
典型的な支援パターンである4つのプランをベースに、お客様の課題や検討段階に応じて、テーラーメード型の支援を行う。

・ソリューション事業
人工知能・機械学習によるビジネス課題の解決、 イノベーションを提供する。

・マーケティングプラットフォーム事業
「プライベートDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)」「レコメンドエンジン」「マーケティングオートメーション」「デジタル広告/運用型広告最適化」「広告の自動入札」「自然言語処理」「O2O(Online to Offline)」「オムニチャネル」など、最先端のデジタルマーケティングに適応するサービスを提供する。

企業データを分析し、販促に活用するデータマイニングを提供し、高付加価値を生んでいる。

データ・アプリケーション(3848)
〇事業内容
・ソフトウェア関連事業
データ交換系ミドルウェアを中心とした企業の業務プロセスを支える基盤型ソフトウェア製品等の開発・販売・保守・ソフトウェア製品の導入や運用を支援するサービス等の提供。

企業間の電子商取引などデータ交換向けソフトに強みを持つ。システムインテグレーターなどの受注が中心。






ROIC経営導入支援モデル 


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【執筆】
 アナリスト 外山英祐 

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