ROIC/WACC業界分析レポート

【ROIC/WACC分析】ネット広告(ネットマーケティング支援)業界





業界ディスクリプション


 ネット広告(ネットマーケティング支援)インターネット広告代理店のうち、マーケティング支援を行う。ネット広告専業の企業もあるが、大手の広告代理店の事業の一つとしている場合もある。明確な事業の定義はなく、サービスは多岐に渡る。検索エンジンで上位表示を狙うSEO(検索エンジン最適化)支援サービスや、LP制作支援サービス、メールマガジンでのリマーケティング支援、リスティング広告支援などが挙げられる。

 インターネット広告市場が拡大しているなかで、多くのベンチャー企業がネット広告(ネットマーケティング支援)業界に進出した。大規模な設備投資が必要なく、スイッチングコストも低い。顧客が企業であることがほとんどのため、顧客単価にかなり差がある。

 ネット広告(ネットマーケティング支援)の企業は、高い専門性が必要とされているため、支援する販売商品サービスの分類ごとのセグメントを顧客ターゲットとして営業してきた。しかし、昨今は顧客である企業はネット上のあらゆるメディアで横断的に集客をしていきたいという需要が顕在化してきた。そのため、大手の広告代理店への集中が進み、多くのSEO支援業者などが系列化している。

 競合企業数は、90年代後半から2000年の一時期と比較すると、淘汰や系列化によって中小企業数はかなり減少している。

 ネット広告の市場規模は、平成21年から平成27年にかけて拡大している。スマートフォンやタブレット型端末の急速な普及によってインターネット利用者が急増したことにより、広告媒体としてのネット広告は急成長した。その他の広告媒体であるテレビや新聞、雑誌、ラジオなどがマイナス成長しているなかで、堅調な伸びがみられる。




ROIC/WACC業界分析


 上記の図表のY軸は、企業価値の時価(Market Value)と簿価(Book Value)を比較した数値である。X軸は、ROIC(投下資本利益率)/WACC(資本コスト)である。日本の全上場企業を調査すると図表の直線Y=(X-1)+1に収束する。企業が目指すべきは、資本効率性を意識したROIC経営により、X(ROIC/WACC)を大きくし、適切なIRによってY(時価総額/株主資本)を大きくしていくことである。   

 パッケージソフト(その他業務向け)業界のROIC/WACCと企業価値の分析によると、全体的にROIC/WACCは上場企業平均に比べ成長期待が大きく、MV>BVとなっている企業が多い。中でも、ユーザーベース(3966)は、比較的高いROICを達成し、高い成長期待を得ている。一方で、Gunosy(6047)は、非常に高いROICを達成しているものの、MV<BVとなっている。スマホゲーム事業を展開する企業は、総じて株価が推計値より低くなる傾向にある。

 ROIC/WACC(横軸)<1の企業は、WACC(資本コスト)がROIC(投下資本利益率)を下回っている。これは、株主が求める期待収益率/資本コストを上回ることで自己資本に加算される付加価値を生み出していないということである。これらの企業は、早急に自社の資本コストを求め、それを上回るROICを生み出す改善努力が必要である。( 詳細は下記に記載)  

 ROIC/WACC(横軸)>1ではあるが、図表の線よりも下に属する企業は時価総額が理論的な企業価値の推計値よりも下回っているといえる。ネット広告(ネットマーケティング)業界の企業は、多くの企業がROIC/WACC=1~2に収束しており、株価が理論的な株主価値の推計値を上回っている。まずは、自社の資本コストを求めたうえで、ROICの向上に努めつつ、資本コストとROICの比率のアピールを含めたIRが必要である。




ピックアップ


〇事業内容
・SPEEDA事業
企業や業界の分析を行う法人向けのプラットフォーム事業。企業のデータ、業界レポート、M&A情報などが閲覧可能。
ワンストップで、世界200カ国の500社の企業データ、150万件のM&A情報、10万系統以上の統計、3000以上の業界レポート情報など、企業・業界分析に必要なあらゆる情報を揃えている。サポート体制も充実しており、瞬時にデータ収集が可能。月額料金制のサブスクリプションモデルで売上高は順調成長。営業利益も大幅伸長。

・NewsPicks事業
ソーシャルメディア機能を兼ね備えた経済ニュースプラットフォーム事業。経済ニュースと各業界の専門家のコメントが閲覧可能。有料会員からの定額料金と広告が収益。

・entrepedia事業
スタートアップ向けの情報収集を支援するプラットフォーム事業。ベンチャー企業の資金調達や、提携先、関連ニュースなどを集約。国内のVCと業務提携し、非公開情報なども取得し、官公庁などにも採用されている。機械学習を取り入れた検索機能も追加し、付加価値向上を図る。

・FORCAS事業
データ分析によるマーケティングと営業支援するクラウドサービス。既存顧客の分析結果などを元に成約確立の高い潜在顧客をリストアップできる。営業と連携し、名刺などの管理システムも実装。




〇事業内容
・メディア事業
グノシー、ニュースパス、LUCRAからなる、情報キュレーションサービスを展開。累計ダウンロード数は2500万を超える。記事の閲覧データからユーザーに最適な広告配信を手掛ける。昨今は、ECサイトとの提携で商品やサービスの購入を促進するプラットフォーム化を図っている。







ROIC経営導入支援モデル




本資料には予想・見通し・目標・計画等の将来に関する事項が含まれております。これらは当社が本資料作成時点において入手した情報に基づく、当該時点における予測等を基礎として作成されております。これらの事項には一定の前提・仮定を採用しており、一定の前提・仮定は当社の主観的な予想を含むも のも含まれております。また、様々なリスク及び不確実性により、将来において不正確である事が判明し、あるいは将来においてこれらの予想は実現しない事があります。その為、本資料に掲載されている予想・見通し・目標・計画等の将来に関する事項について、当社はそれらの情報を最新のものに随時更新すると いう義務も方針も有しておりません。同時にその内容の正確性、完全性、公平性及び確実性を保証するものではありません。従いまして、本資料を利用した結果生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を負うものではございません。 




【執筆】
 アナリスト 外山英祐

 ジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社(J-Phoenix Inc. ) 

 住所:東京都中央区日本橋茅場町一丁目8-1 茅場町一丁目平和ビル9階 

 Tel : 03-5532-7647 /  Fax : 03-5539-4881 

 ウェブサイト https://www.j-phoenix.com