ROIC/WACC業界分析レポート

【ROIC/WACC分析】スーパーマーケット業界





業界ディスクリプション

 スーパーマーケット業界の企業は、コンビニと同様に生活必需品の多くをセルフサービス方式で販売する小売店サービスを展開している。コンビニとの違いとしては、面積が 250 ㎡ 以上のものがスーパーマーケットとされているが、コンビニとほぼ同規模の小型店から、その10倍以上の規模の大型店まで様々な形態をとっている。当分析では、業界で圧倒的な規模を誇るイオン (8267) とセブン& アイ HD (3382) を除外している。これは、両社が純粋持ち株会社として分析対象企業の多くを傘下に置いているからである。

 スーパーマーケットは、主に食品を専門に販売する食品スーパーと、総合的に商品を販売する GMS(ゼネラルマーチャンダイズストア) に分けられる。スーパー業界自体の業界規模は約17兆と、利用者数と同様にかなり大きな市場となっているが、人口減少による顧客減少や人手不足による人件費上昇により食品スーパーの経営環境は厳しい状況にあり、さらにドラッグストアや家電量販店など専門店の台頭により、GMSの売上不振が続いている。

 しかし、食の安全に対する顧客ニーズや内食志向の高まりを考慮すれば、生鮮食品の単価や購買量を抑制しようという意識は小さいと考えられ、食品スーパーの市場は今後も拡大していくと予想される。また、一部企業では、仕入れ品をプライベートブランド化することによる利益率の改善を目指している。このため、GMSであっても食品販売強化とそのロス率改善が主に求められる経営努力となるだろう。


ROIC/WACC業界分析

 上記の図表の Y 軸は、企業価値の時価 (Market Value) と簿価 (Book Value) を比較した数値である。 X 軸は、 ROIC(投下資本利益率)/WACC(資本コスト) である。日本の全上場企業を調査すると図表の直線 Y = 1.0(X-1) + 1 に収束する。企業が目指すべきは、資本効率性を意識した ROIC 経営により、 X( = ROIC/WACC) を大きくし、適切な IR によって Y( = 時価総額/株主資本) を大きくしていくことである。    

 スーパーマーケット業界の ROIC/WACC と企業価値の分析によると、 X( = ROIC/WACC) は全体的に低めの数値であるが、約 2/3 の企業が X > 1の部分に位置している。このうち、マックスバリュ九州 (3171) とマックスバリュ東北 (2655) は X の値が 2.9 を超える業界最高水準にあるのだが、両社の Y( = 時価総額/株主資本) の値の差は大きく、約 2 倍の差がある。    

 X( = ROIC/WACC) < 1の範囲に属する企業は、 WACC(資本コスト) が ROIC(投下資本利益率) を下回っている。これは、 株主が求める期待収益率/資本コスト を上回ることで自己資本に加算される付加価値を生み出していないということである。これらの企業は、早急に自社の資本コストを求め、それを上回るROICを生み出す改善努力が必要である。( 詳細は下記に記載)    

 X( = ROIC/WACC) > 1 の範囲には属するが、図表の線よりも下に属する企業は時価総額が理論的な企業価値の推計値よりも下回っているといえる。スーパーマーケット業界の企業のうち、 X( = ROIC/WACC) の値が 2 、 3 番目に大きいマックスバリュ九州 (3171) とオーシャンシステム (3096) の株価は、理論的な株主価値の推計値を下回っている状況である。これらの企業は、自社の資本コストを求めたうえで、 ROIC の向上に努めつつ、資本コストと ROIC の比率のアピールを含めた IR が必要である。 


ピックアップ

 マックスバリュ九州 (3171) は、2001年12月に経営破たんした株式会社壽屋から店舗を譲り受けることを目的として設立され、その後、九州地区におけるスーパーマーケット事業のリーダーとなるべく西九州ウエルマート株式会社、株式会社ハローを吸収合併した。以降も株式会社クリエイトの完全子会社化や株式会社ダイエーからの吸収分割などにより九州地区での店舗拡大を図ってきた。当社他「マックスバリュ」系の企業はイオン (8267) の子会社である。
 
「便利」「安い」をコンセプトに、日常の生活に必要な食料品・家庭用品を中心とし た品揃えで、 24 時間での営業 (一部の店舗は17時間営業) を特徴とする食品スーパー「マックスバリュ」や、より取扱商品を絞り、大量陳列と均一価格設定によって更なる低価格での食品提供を行う「ザ・ビッグ」を主に展開している。。また、現在、人口の都市回帰に呼応し、低投資で高速出店を狙い、小商圏かつコンビニエンス性を重視した、「都市型エクスプレス」店舗の開発も進めている


〇事業内容
・スーパーマーケット事業
食品スーパー「チャレンジャー」による新潟県における店舗展開
・業務スーパー事業
東北地方を中心とした「業務スーパー」の店舗展開やフランチャイズエリア内におけるサブ FC の指導・管理
・弁当給食事業
「フレッシュランチ39」等ブランドによる企業宅配弁当の製造及び販売、「こしひかり弁当」ブランドによる弁当の製造及び店頭販売ならびに卸売販売、惣菜等の受託製造、オフィス・工場など企業内食堂の運営受託、「フレッシュランチ39」の FC 展開
・食材宅配事業
「ヨウケイ」ブランドによる夕食材料セット等の宅配
・旅館、その他事業
定食屋「米どころん」の運営及び FC 展開、旅館及び上記以外の飲食店

 オーシャンシステム (3096) は、当社及び連結子会社3社により構成され、「食」に関わる事業を展開している。スーパーマーケット事業及び業務スーパー事業に関しては、ドミナント戦略に基づいた出店とサブ FC 店との相乗効果を図った出店エリアの拡大とシェアアップを目指している。また、食材宅配事業では、日用品の販売開始による顧客との関係強化を図っている。


ROIC 経営導入支援モデル



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【執筆】 
 アナリスト 本田泰三 
 
 ジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社(J-Phoenix Inc. )

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