ROIC/WACC業界分析レポート

【ROIC/WACC分析】倉庫・物流サービス(一般)業界 時価総額10,000百万超~100,000百万未満






業界ディスクリプション


  物流業界全体の市場規模はおよそ20兆円。さらに、倉庫業界では普通倉庫業、冷蔵倉庫業、水面倉庫業に大分される。物流業界では、倉庫を拠点として物流を効率的に行える在庫管理システムを導入するなど、IT技術を取り入れた経営改善が図られている。倉庫業は、ただの保管機能としての役割ではなく、物流の拠点としての機能を発揮しており、3PLと言われる「サード・パーティ・ロジスティクス」というアウトソーシング事業に転換する企業も見られる。矢野経済研究所の「物流市場の現状と将来展望2017年版」によると物流市場の市場規模は、堅調にのびており、特にトラック運送業は5年間で25%と高い成長率がでている。また、倉庫業も20%と成長している業界である。これら、アマゾンやZOZOTOWNなどに代表されるようにEC業界が高成長していることが大きく影響していると考えられる。ほとんどのモノをインターネットで購入できるようになり、物流業界では小口の配送が大幅に増加している。
  
  物流システムの動向としては、AIやIoTの活用により、業務の機械化・自動化が進められている。富士経済の「次世代物流ビジネス・システムの実態と将来展望2017」によると、次世代物流システム市場は2017年で1兆5,950億円と見込まれ、2025年には2兆7,085億円まで登ると予測されている。次世代物流システムとは、ロボティクス・オートメーション6市場、ロジスティクスファシリティ6市場、IoT6市場、AI4市場からなる。ロボティクス・オートメーションは今後も成長が期待され、現場作業の自動化・省力化が促進される中で、AGV・アーム付AGV、次世代物流ロボット、物流向けパワーアシストスーツ、物流向けドローンといった新しいテクノロジーの導入が本格化し、市場は拡大するとみられる。

 

ROIC/WACC業界分析

 
 上記の図表のY軸は、企業価値の時価(Market Value)と簿価(Book Value)を比較した数値である。X軸は、ROIC(投下資本利益率)/WACC(資本コスト)である。日本の全上場企業を調査すると図表の直線Y=(X-1)X+1に収束する。企業が目指すべきは、資本効率性を意識したROIC経営により、X(ROIC/WACC)を大きくし、適切なIRによってY(時価総額/株主資本)を大きくしていくことである。

 倉庫・物流サービス(一般)のROIC/WACCと企業価値の分析によると、全体的にROIC/WACCは低めの数値であり、時価総額も理論的な時価/簿価の推計値の割合よりも下回っている。しかし、中ではトランコム(9058)がROIC/WACC=3.3と抜きんでている。次いで、ロジネットジャパン(9027)の2.6である。

 ROIC/WACC(横軸)<1の企業は、WACC(資本コスト)がROIC(投下資本利益率)を下回っている。これは、株主が求める期待収益率/資本コストを上回ることで自己資本に加算される付加価値を生み出していないということである。これらの企業は、早急に自社の資本コストを求め、それを上回るROICを生み出す改善努力が必要である。( 詳細は下記に記載)

 ROIC/WACC(横軸)>1ではあるが、図表の線よりも下に属する企業は時価総額が理論的な企業価値の推計値よりも下回っているといえる。倉庫・物流サービス業界の企業は、ほとんどがROIC/WACC>1になっているものの、株価が理論的な株主価値の推計値を下回っている状況である。まずは、自社の資本コストを求めたうえで、ROICの向上に努めつつ、資本コストとROICの比率のアピールを含めたIRが必要である。





ピックアップ

トランコム(9058)
〇事業内容
・物流情報サービス事業
空車情報と貨物情報のマッチング業務,幹線輸送業務,トラックのリース及び保守管理業務
・ロジスティクスマネジメント事業
顧客企業の物流機能の一括受託業務,貨物の配送業務,貨物の輸配送業務及び物流センターの運営業務
・インダストリアルサポート事業
生産請負業務,人材派遣業務及び有料職業紹介業務,海外事業統括業務,海外フォワーディング業務

 トランコム(9058)は、物流情報サービス事業において成約件数が前期比で5.1%増と順調に推移している。チャーター・中ロットの成約件数増加が、売上利益増につながった。取り組みとしては、貨物情報量を10%アップを目指し、直荷主との取引を拡大している。さらに、トラックドライバー専用採用サイトである「トラはた」を立ち上げ、メディアによるサービス拡大を図っている。加えて、ICT導入によって、高い利便性を提供し高付加価値化を実現する方針を打ち出している。


ロジネットジャパン(9027)

〇事業内容
札幌通運グループ
(貨物自動車運送,鉄道利用運送,航空利用運送,倉庫業,引越・移転,通関業),物品販売事業(車両,事務機器等の販売),その他事業(旅行業,損害保険代理業,不動産賃貸業,自動車修理業,飲料水製造業)
・中央通運グループ
運送事業(貨物自動車運送,鉄道利用運送,エコビジネス事業)
ロジネットジャパン西日本グループ
運送事業(貨物自動車運送,倉庫業)

 ロジネットジャパン(9027)は、物流サービスの骨格として3PL (3rd Party Logistics)を挙げている。3PLとは、荷主企業が自社の流通機能全般を一括して事業者に委託するアウトソーシングサービスである。コスト削減、商物分離といったメリットがある。長距離輸送サービスとして、トラック輸送のほかに航空輸送、大型フェリー輸送、鉄道コンテナ輸送なども手掛けている。BtoBだけでなくBtoCなどの小口輸送サービスも展開しており、包括的な輸送サービスを行い高い付加価値を提供している。





ROIC経営導入支援モデル




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【執筆
アナリスト  外山英祐

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