ROIC/WACC業界分析レポート

【ROIC/WACC分析】情報通信・ネットワーク機器卸業界





業界ディスクリプション

 

 情報通信・ネットワーク機器卸売業界は、取り扱っている商材の種類で大分される。企業オフィス等向けの電話や、複合機(Multifunctional Peripheral)、サーバー、ストレージ、PC、プリンター、ソフトウェア、その他ネットワーク関連機器などがある。その他にも、業界ごとに需要のある専門市場がある。例えば、セブンイレブンに代表される流通業界でレジなどのPOS(Point of Sales)関連機器、金融業界・保険業界における高速入出力関連機器、製造業におけるセンサーなどのFA(Factory Automation)がある。これらの専門分野で企業がメイン商材を中心に、商材範囲を拡大させ、一社で多種多様な商品を取り扱うようになってきている。
また、商品の販売だけに留まらず、業務・IT管理に関するコンサルティングやシステム構築、導入後のアフターサービスや保守管理、メンテナンス、消費財供給も手がけ、プロダクト販売のビジネスモデルからサブスクリプション型にビジネスモデルを変換している企業も出てきている。

 情報通信・ネットワーク機器卸売業界の競合状況としては、売上高が大きいものから日立ハイテクノロジーズ、キャノンマーケティングジャパン、大塚商会、ダイワボウHDなどである。しかし、これらの企業は取り扱うメイン商材が多様なため直接的な競争はあまり見られない。加えて、その他事業の売上高比も高い企業も多い。
 
 卸売業界ということだが、製造業界からの川下進出が多く見られる。超大手企業を中心にチャネルの垂直統合が多く見られ、その他は、海外からの輸入業者が多く見られる。
 
 IDC Japanのネットワーク機器市場予測によると、2017年の国内通信事業者向けのネットワーク機器市場は前年度比で7.0%減で市場規模は898億8,600万。2018年は、3年間の市場低迷から脱出し、7.5%増の966億2,700万円と推測されている。これは、5Gサービスの開始とトラフィックの増加によるもので、次世代技術の先駆けとして期待されているためと言える。2019年以降も緩やかに上昇を続けると言われており、5Gサービスに向けた設備投資増加が見込まれ、2020年までは年間平均成長率が6.8%と予測されている。 

ROIC/WACC業界分析



 上記の図表のY軸は、企業価値の時価(Market Value)と簿価(Book Value)を比較した数値である。X軸は、ROIC(投下資本利益率)/WACC(資本コスト)である。日本の全上場企業を調査すると図表の直線Y=(X-1)X+1に収束する。企業が目指すべきは、資本効率性を意識したROIC経営により、X(ROIC/WACC)を大きくし、適切なIRによってY(時価総額/株主資本)を大きくしていくことである。

  情報通信・ネットワーク機器卸売り業界のROIC/WACCと企業価値の分析によると、全体的にROIC/WACCは上場企業平均と同等の分布、時価総額も均すと理論的な時価/簿価の推計値といえる。しかし、中ではアセンテック(3565)やテクマトリックス(3762)などが時価総額を伸ばしている。

  ROIC/WACC(横軸)<1の企業は、WACC(資本コスト)がROIC(投下資本利益率)を下回っている。これは、株主が求める期待収益率/資本コストを上回ることで自己資本に加算される付加価値を生み出していないということである。これらの企業は、早急に自社の資本コストを求め、それを上回るROICを生み出す改善努力が必要である。( 詳細は下記に記載)

  ROIC/WACC(横軸)>1ではあるが、図表の線よりも下に属する企業は時価総額が理論的な企業価値の推計値よりも下回っているといえる。情報通信・ネットワーク機器卸売業界の企業は、ほとんどがROIC/WACC>1になっているものの、株価が理論的な株主価値の推計値を下回っている状況である。まずは、自社の資本コストを求めたうえで、ROICの向上に努めつつ、資本コストとROICの比率のアピールを含めたIRが必要である。



ピックアップ



アセンテック(3565)
〇事業内容
・ITインフラ事業
 仮想デスクトップビジネス,仮想インフラ及びストレージビジネス,プロフェッショナルサービスビジネス,クラウドサービスビジネス

 アセンテック(3565)は、セキュリティーソリューションのひとつである、仮想デスクトップビジネスを中心に、仮想インフラ及びストレージビジネス、プロフェッショナルサービスビジネス、クラウドサービスビジネスの4つの事業領域により構成している。
 仮想デスクトップとは、デスクトップ環境をサーバー側に集約し、ネットワークを介してデスクトップの画面イメージを配信し、シンクライアント端末やパソコン、タブレットなどによりユーザが利用するソリューションのことである。メリットとしては、高いセキュリティと運用管理負担の低減が挙げられる。
 成長戦略としては継続収入型いわゆるサブスクリプション型ビジネスの拡充によって高利益率で安定したビジネスを拡大させている点と言えよう。
 

NO.1(3562)
〇事業内容
・オフィスコンサルタント事業
 OA関連商品販売、情報セキュリティ販売、経営支援サービスからなる。OA関連商品販売は、コピー機・複合機やビジネスフォン、パソコンなどの法人オフィスの機器を包括的に取り扱っている。情報セキュリティ販売は、防犯用のアプライアンスやファイルサーバーを提供している。また、関連して法人用WEBサイト制作も提供している。
・システムサポート事業
 システムサポートとオフィス通販からなる。OA機器販売後の保守及びメンテナンスを行う。

 NO.1(3562)は、提案力強化により売上高が上昇し、前年対比でおよそ10%増加した。しかし、業容拡大維持と人員増強で営業利益は減少した。業績予想については、来期計画では継続して成長投資を行い、増収増益を予想。売上高比で2.5%、営業利益で18.5%の増加。成長戦略として、販売戦略では営業プロセスの形成、商品戦略で新規自社製品のリリースを行っていく。


フォーバル(8257)
〇事業内容
・フォーバルビジネスグループ
 オフィス用OA・ネットワーク機器の販売,サービスの取次,中小法人向けコンサルティングサービス
・モバイルショップ
 携帯端末の取次

 営業利益は、10期連続増益であり、安定成長を続けている。主要三事業で、今期は売上高で成長している。携帯販売は人件費や促進費の増加で軟調。コンサルティングは、ニーズ高まりを捕まえ単価上昇につなげ、供給拡大も成功している。





ROIC経営導入支援モデル




本資料には予想・見通し・目標・計画等の将来に関する事項が含まれております。これらは当社が本資料作成時点において入手した情報に基づく、当該時点における予測等を基礎として作成されております。これらの事項には一定の前提・仮定を採用しており、一定の前提・仮定は当社の主観的な予想を含むも のも含まれております。また、様々なリスク及び不確実性により、将来において不正確である事が判明し、あるいは将来においてこれらの予想は実現しない事があります。その為、本資料に掲載されている予想・見通し・目標・計画等の将来に関する事項について、当社はそれらの情報を最新のものに随時更新すると いう義務も方針も有しておりません。同時にその内容の正確性、完全性、公平性及び確実性を保証するものではありません。従いまして、本資料を利用した結果生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を負うものではございません。





【執筆】 
アナリスト 外山英祐 

 ジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社(J-Phoenix Inc. ) 

住所:東京都中央区日本橋茅場町一丁目8-1 茅場町一丁目平和ビル9階 

 Tel : 03-5532-7647 /  Fax : 03-5539-4881 

 ウェブサイト https://www.j-phoenix.com