ROIC/WACC業界分析レポート

【ROIC/WACC分析】アパレル(総合)



  

業界ディスクリプション  


  総合アパレルとは婦人服2部門以上を扱うアパレルメーカーを指す総合アパレル業界では、デザインや型紙(パターン)作成をクリエイターが、 市場調査、商品企画、価格設定などの総合的な管理をMD(マーチャンダイザー)が、商品販売を店舗が担うという構造になっていて、男女を問わず全世代をターゲットとしている。

 アパレル業界においては、資金や人脈などのコネクションを要するため参入障壁は高かった。しかし近年では、消費者のニーズや購入方法が多様化し、トレンドサイクルが短くなったことを受けて、日本でのメイン市場であった中間価格帯市場は低迷し、市大手企業には苦しい市場環境となった。さらにデジタル化が進んでいることによりZOZOタウンなどのECプラットフォームが台頭した。それに伴い、多様化するニーズに対応可能な独自ブランドのアパレルビジネスへの参入障壁は低下している。 

 近年では企画から販売までを行うSPAに乗り出す企業が増加している。ファーストリテイリングを始めとするSPAでは、サプライヤーや提供先企業のバイイングパワーに影響されず、高い利益率を実現できるため、今後総合アパレル業界におけるビジネスモデルが転換していくと予想される。

 また、 ユニクロやg.u.、GAP(米)、H&M(スウェーデン)などの、衣料品を大量生産し、低価格で提供するファストファッションの台頭によりアパレル業界を取り巻く環境は厳しい。ECプラットフォーマーの登場により参入障壁は低下したが、競合企業増加につながっている。矢野経済研究所の調査によると、2017年の衣料品売上高は1兆8397億円で、前年比マイナス2.2%、国内市場は縮小しており、企業間競争は一層激しくなっている。

  しかし、日本においては中間価格市場の低迷を受けてアパレル不況が危惧されているが、世界的にはアパレル業界依然として成長段階である。ドイツを拠点とする経営コンサルタント会社、ローランド・ベルガー社は、2025年のアパレル業界の市場規模は2兆7,130億ドル(名目ベース)で、年平均の成長を3.6%と予想している。海外市場の拡大を受け海外展開を目指す企業が増加しており、各企業はインターネットによる衣料品購入が盛んなアメリカ、中国をターゲットとするEC強化に注力するとみられる。




 


ROIC/WACC業界分析   



       上記の図表のY軸は、企業価値の時価(Market Value)と簿価(Book Value)を比較した数値である。X軸は、ROIC(投下資本利益率)/WACC(資本コスト)である。日本の全上場企業を調査すると図表の直線Y = (X-1)X + 1に収束する。企業が目指すべきは、資本効率性を意識したROIC経営により、X(ROIC/WACC)を大きくし、適切なIRによってY(時価総額/株主資本)を大きくしていくことである。
 
 アパレル(総合)業界のROIC/WACCと企業価値の分析によると、ROIC/WACCは全体的に低めの数値であり 、ROIC/WACC<1の部分に企業が集中している。しかし、中ではパルグループホールディングス(2726)がROIC/WACC=3.1と抜きんでている。次いで、ユナイテッドアローズ(7606)の2.9である。
 
     ROIC/WACC(横軸) < 1の企業は、WACC(資本コスト)がROIC(投下資本利益率)を下回っている。これは、株主が求める期待収益率/資本コストを上回ることで自己資本に加算される付加価値を生み出していないということである。これらの企業は、早急に自社の資本コストを求め、それを上回るROICを生み出す改善努力が必要である。( 詳細は下記に記載)

   ROIC/WACC(横軸) > 1ではあるが、図表の線よりも下に属する企業は時価総額が理論的な企業価値の推計値よりも下回っているといえる。アパレル(総合)業界の企業はほとんどがROIC/WACC > 1になっているものの、特にROIC/WACCの値が大きい4社の株価は、理論的な株主価値の推計値を下回っている状況である。これらの企業は、自社の資本コストを求めたうえで、ROICの向上に努めつつ、資本コストとROICの比率のアピールを含めたIRが必要である。 




ピックアップ  


  
〇事業内容
・衣料事業
全世代・性別をターゲットとする「Kastane」、着心地、カッティング、素材感を重視した商品を提供する「Lui`s」などのブランドを展開。
・雑貨事業
3COINS
キッチン・バス・インテリア・靴下・ アクセサリーなどの商品を、ベーシックなものから楽 しくなるようなカラフルな色使いのものまで、300円 を中心とした雑貨を提供。

    パルグループホールディングス(2726)はに「新しいファッションライフの提案を通じて社会に貢献する」ことを社是とし、衣料事業、雑貨事業を展開している。2018年2月期においては、売上高は前期比5.8%増収、営業利益率・経常利益率を改善している。中長期ビジョンとして、EC販売強化や海外事業推進などによる2023年度の売上高2000億円を目指している。


ユナイテッドアローズ(7606)
 〇事業内容
 ・ユナイテッドアローズ 
ファッション好奇心旺盛で、上品で上質なものを嗜好する大人の男女に向け、衣料品および生活雑貨をドレス軸で展開。ナイテッドアローズグループのイメージをけん引する主幹ブランド
・ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ
衣料品および生活雑貨をカジュアル軸で展開。

 
       ユナイテッドアローズ(7606)は世界に通用する企業ブランドをめざし、ファッション性が高く、ファッションの潮流に敏感なトレンドマーケットをターゲットとしたビジネス展開を行っています。2018/3期 単年度経営方針「収益性の早期改善」を経営方針に掲げ、各種の取組みを推進し、結果は概ね当初の想定どおりとなった。中期ビジョンは、強い経営基盤の確立 、実店舗の強みを活かしたEC拡大、お客様との接点の拡大マーケット変化への対応を重要取組課題として推進している。




 ROIC経営導入支援モデル 



   
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 【執筆】
 アナリスト  飯田涼太

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