ROIC/WACC業界分析レポート

【ROIC/WACC分析】パッケージソフト(その他業務向け)業界

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業界ディスクリプション

 
 パッケージソフト(その他業務)は、在庫管理や生産管理、人事管理、給与計算などのERPソフトウェアや会計ソフトウェア以外のものを指す。「その他業務向け」のパッケージソフトは、様々な業種に特化したものが多い。例えば、旅館や冠婚葬祭式場の管理システムや畜産管理システムなどである。

 パッケージソフト(その他業務)は、巨大な資本をあまり必要としないため中小企業が特定のニッチセグメントで事業を行っている。そのため、比較的参入障壁は低く、乱立しやすい。BtoBのビジネスであり、スイッチングコストは比較的高いが、現在はサブスクリプションンモデルのソフトウェアが世界的に伸びてきており、販売型のソフトウェアをリプレイスしてきている。 

  製品の買い手(顧客)は、法人である程度の規模の企業であるが、交渉力はある程度強いが、特化した業界で市場独占状態にサプライヤーがいる場合も多く、この場合は売り手の交渉力が強く、利益率も非常に高い。

 上場企業ごとで、競合が多くいるわけではなく、特定の業界業種に特化しているため、ニッチトップを狙い、新規事業として他の業界業種に進出する企業が多くみられる。そのため、個別の業界業種で見た市場集中度は高いが、パッケージソフト(その他業種)で見た集中度合はそれほど高くはない。セグメントごとの市場規模によってトップラインのアップサイドがある程度決まってくる。 市場規模の推移としては、ソフトウェア業界全体として安定成長を続けている。特に、米国市場では既存企業がSaaS(Software as a Service)型のソフトウェアに転換し、急成長を遂げている例が多くみられる。 




ROIC/WACC業界分析


上記の図表のY軸は、企業価値の時価(Market Value)と簿価(Book Value)を比較した数値である。X軸は、ROIC(投下資本利益率)/WACC(資本コスト)である。日本の全上場企業を調査すると図表の直線Y=(X-1)X+1に収束する。企業が目指すべきは、資本効率性を意識したROIC経営により、X(ROIC/WACC)を大きくし、適切なIRによってY(時価総額/株主資本)を大きくしていくことである。  

  パッケージソフト(その他業務向け)業界のROIC/WACCと企業価値の分析によると、全体的にROIC/WACCは上場企業平均に比べ成長期待が大きく、MV>BVとなっている企業が多い。中でも、テモナ(3985)は、非常に高いROICを出しており、高く市場に評価されている。一方で、情報企画(3712)は、ROICが約30%と非常に高いが、現在は比較的に割安に評価されているといえる。

  ROIC/WACC(横軸)<1の企業は、WACC(資本コスト)がROIC(投下資本利益率)を下回っている。これは、株主が求める期待収益率/資本コストを上回ることで自己資本に加算される付加価値を生み出していないということである。これらの企業は、早急に自社の資本コストを求め、それを上回るROICを生み出す改善努力が必要である。( 詳細は下記に記載)  

  ROIC/WACC(横軸)>1ではあるが、図表の線よりも下に属する企業は時価総額が理論的な企業価値の推計値よりも下回っているといえる。パッケージソフト(その他業務向け)業界の企業は、ほとんどがROIC/WACC>1になっているものの、株価が理論的な株主価値の推計値を下回っている状況である。まずは、自社の資本コストを求めたうえで、ROICの向上に努めつつ、資本コストとROICの比率のアピールを含めたIRが必要である。 




ピックアップ


情報企画(3712)
〇事業内容
・システム事業(システムインテグレーション)
地銀を中心とした金融機関に預金取り扱い金融期間向けソフトを販売。信用リスク管理関連製品として、決算書登録ソリューション・担保不動産管理ソリューション・自己査定延滞管理ソリューション・リスク管理ソリューションを提供している。また、融資関連のソリューションや一般の事業会社向けのソフトウェアの開発にも進出し、業容拡大を図っている。金融機関の新規顧客開拓に注力。中でも、担保不動産管理システム、財務分析・企業評価システム等の大手地銀向けのパッケージソフトの販売が拡大し、増収増益。

・不動産賃貸事業



テモナ(3985)
〇事業内容
・たまごリピート事業
ネット通販やカタログ通販にて、定期購入、頒布会業務に必要な管理業務(注文管理、カード決済、出荷、販促、分析など)を自動化し通販業務を強力にサポートするショッピングカート付き通販統合web システム「たまごリピート」。更なる販促強化、人的作業コストの削減や効率化を期待できる。

・ヒキアゲ―ル事業
ネット上においてリアルと同じ様に相手に合わせた個別接客を行うためのマーケティングツール。 webサイトを訪れるお客様の行動履歴、購買履歴などのビッグデータを元に、 最適な画面情報をパーソナライズして表示する。

・メディア事業 URARA
URARAは、30~40代女性の美に磨きをかけ、毎日を麗(うらら)に、前向きに生きるヒントを伝える、大人女性の美容と健康マガジン。いくつになってもアクティブに心身を磨き、年齢を美しく重ねていきたい女性へ、美容・健康のメソッドを配信している。





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【執筆】
 アナリスト 外山英祐 

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